指紋、音声、顔、眼、静脈……セキュリティ意識の高まりとともに、生体認証技術は花盛り。
カナダの学者さんは、脳波をパスワード代わりに使えるようにする研究をしています。
あわせて、日本での先行事例も紹介します。
脳波が人によって異なることをパスワード代わりに利用しようというこのアイディア。
この脳波認証の技術『pass-thought 』は、歌のフレーズ、最後の誕生日の記憶、大好きな絵のイメージ、なんでも有り。現実的な選択肢としては、予め定められたビデオクリップのうち、どれについて『はい/いいえ』と考えるかをモニターする、というものです。開発しているのは、カールトン大学(カナダ オタワ)のジュリー・ソープさん。
(共同研究者は Anil Somayaji と Adrian Chan.)
「人によって脳波に違いがあることは、よく知られています。
「数百~数千ビットの情報を測定、くりかえし使えるようにすることは可能か?((訳注:同一人物のものであっても、日によって違うから、照合はたいへんそうです。))私たちはできると思っています。」指紋や虹彩、顔と異なり、ユーザーが定期的にパスを変更できる((これは、たしかに大きなアドバンテージだなぁと思いました。指紋や静脈は変えられないから、ハッキングされた時に困りますので。))生体認証技術となる可能性があります。
しかし、それは本当に可能なのでしょうか?
この脳波認証技術は、障碍を持つ人が脳波によってコンピュータを操作するbrain-computer interface,(BCI)から派生しました。脳波が人によって異なるため、ある人用に調整したシステムは別の人が使うのが難しかったのです。
スイス連邦工科大学の教授Touradj Ebrahimi 氏
「同じことをしたり、考えたりしている時ですら、人によって脳波が異なるのです。」
このあと、いろいろと技術的な困難についての記述が続きます。
結論としては、『まだ開発には20年かかるだろう』とのこと。
しかし、日本には、既に先行事例があります。
脳波(ベータ波)を測定、電子音にかえる装置。
会話が出来なくなった人のために開発されたもの。
ベータ波は、訓練すると、意識して出すことが出来るようになるのだそうです。
いわゆる、脳波計等と違って、はちまき状の電極をおでこに固定するだけ。
キーボードの入力と違い、カメラや、目視でのスキミングが出来ないので、これ、そのまま使えそうです。
たとえば、10個の物体を順番に画面に出して、あらかじめ決めておいたもの(たとえばネコ)が画面に出た時に、意識してベータ波を出すとか、モールス信号を使うとか。
銀行のATMで使おうとは思いませんけれども、特定用途向けとしては、需要が有りそうな気がします。
関連
・ねこ認証 (engadget 日本版)
・モールス